新緑の風のように伸び、楽々とレコード更新/桜花賞



◆ゴール前は、ジェンティルドンナのオークスの直線を思わせた

 4戦4勝のラッキーライラック(父オルフェーヴル)は素晴らしい牝馬。その能力も馬体も文句なしのレベルを示し、まず崩れるはずのない桜花賞候補。

 ただし、「シンザン記念」の勝ち方をみると、型破りのローテーションで出走するアーモンドアイ(父ロードカナロア)は、まだベールに包まれているものの、ひょっとすると互角か、あるいはラッキーライラックを上回るくらいの能力を秘めている可能性があるのではないか? そんな直前の風評どおり、人気は2頭に集中した。

 結果は、多くの人びとが期待した以上のハイレベルな桜花賞になった。とくに人気上位馬は快時計の決着になって崩れなかった。

重賞レース回顧

多くの人びとが期待した以上のハイレベルの桜花賞になった(C)netkeiba.com


 ラッキーライラックは一番の好スタートから、行きたい馬をうながすように少し引いて好位のイン3〜4番手。直線に向いて石橋脩騎手の意図どおりに抜け出し、1分33秒4=「推定バランス46秒9-(1000m通過58秒9)-46秒5-34秒5」。本番だけにチューリップ賞よりややきついペースになったが、決してハイペースでもなく、走破タイムはチューリップ賞とまったく同じ。ここまでの桜花賞レコードと0秒1差。ふつうの年の桜花賞なら、どの角度からみてもあのまま勝っている内容である。

 ところが、このラッキーライラックとまったく別のレースを展開したのがアーモンドアイ。強敵相手の経験がなく、スパート態勢に入ると手前を変えがちなので直線は馬群から離れた外に回ると、新緑の風のように伸びた。ルメール騎手も、アーモンドアイも、とても必死のレースとは見えなかった。

 最後方近くから、大外に回ってラッキーライラックを約2馬身も交わし、まだまだ余力があるかのようにゴールしたアーモンドアイは、推定「前半47秒9-(1000m通過59秒9)-後半45秒2-33秒2」=1分33秒1。競り合うこともなく、楽々と桜花賞レコードを「0秒2」更新である。上がり2位は4着トーセンブレス(父ディープインパクト)の34秒2なので、1頭だけ、まるで爆発力がちがった。スローの切れ味比べではなく、この全体時計で、残り400〜200m(レースラップ11秒3)を「10秒台」の計算になる。

 石橋脩騎手のラッキーライラックは、チューリップ賞と同じ時計が示すように現時点での能力は出し切っている。しいていえば、今回の方が当日の動きが硬いように映った気がしただけで、この20年間、5番以内の内枠の馬は1頭も連対したことがない記録(ジンクスではない不利)を、力で克服したから立派な2着である。

 陣営は距離延長に不安なしとしているので、オークス2400mに向かうだろう。仮に2000m級までが理想のマイラーに近い中距離型としても、同じ3歳牝馬同士のオークスなら距離不安のあるタイプではない。

 アーモンドアイのゴール前は、2012年のジェンティルドンナ(父ディープインパクト)のオークスの直線を思わせた。どこまでもはずむようなフットワークだった。でも、スピード色の濃いマイラー系とされるロードカナロア(その父キングカメハメハ)の初年度産駒。1600m→2400mは大丈夫だろうか。

 2400m級になると、心肺機能より筋肉繊維の質によるところ大とされる。ロードカナロア産駒で、身体のバランスも父に似ていても、産駒のアーモンドアイがスピード色の濃いマイラーとは限らないかもしれない。ジェンティルドンナ(ジャパンCなど海外も合わせGI競走7勝)の場合は、母は典型的なスプリンターで、その父ベルトリーニも完全なスプリンターだった。そこで、オークスで人気は落ちたが、娘は2400mを独走した。

 アーモンドアイの場合は、母の父サンデーサイレンス。エリザベス女王杯を勝った母フサイチパンドラの牝系は、マイラーに近い中距離型の多いファミリーであり、もしかすると2400mになるのは歓迎ではないかもしれない。しかし、典型的なスプリンターから、3000m級歓迎のステイヤーもいた1980年代までとは異なり、近年のサラブレッドの大半は1600〜2000mをベストとする中距離スピード系になった。スピード一色でも、スタミナだけでも、チャンピオンにはなれず、配合しだいで、さらには1〜2代でさまざまなタイプに色彩を変える時代である。

 かつて、競馬先進国を自負した欧州の主要国は、適性距離重視を世界に主張し、完全に進展が止まった期間があった。長距離系だから…、スピードタイプなので…。そういう推測と判断は「プラス思考で広がりを求めるときに用いる」進展のための思考回路であり、「マイナス思考には進歩、発展はない」ことを歴史が伝えている。距離延長にカベがあるというなら、挑戦してみようじゃないか。距離短縮がムリというなら、それにも挑んでみようじゃないか。

 現代は生産手法からしてそうであり、ミニ・ディープインパクトや、ミニ・キングカメハメハを生産するため、プチ・オルフェーヴルや、プチ・ロードカナロアを生産するために努力しているのではないのである。

 などといいながら、今週の皐月賞のステルヴィオ(父ロードカナロア)と、エポカドーロ(父オルフェーヴル)のレース内容は、オークスや日本ダービーとも強く関係するから非常に気になる。広がる可能性を感じさせて欲しいものである。

 3着リリーノーブル(父ルーラーシップ)は、ラッキーライラックに3連敗(0秒1差、0秒4差、0秒1差)となったが、上がりは34秒3。初めてラッキーライラックを上回った。ルーラーシップの産駒だからといって、簡単に距離延長歓迎というものでもないが、馬体重は同じでも今回はスマートに映った。展望は明るい。

 トーセンブレスもラッキーライラックに3連敗。しかし、阪神JFで完敗の0秒6差(4着)だったものが、上がり34秒2で上回ったと同時に、着差も詰まっている。桜花賞タイプではないだろうと考えられていたから、このあとが楽しみになった。

 13年の桜花賞馬アユサンの全妹マウレア(父ディープインパクト)は、外枠17番でレース巧者ぶりがまったく発揮できなかった。アユサンは、オークスは4着にとどまっているだけに、桜花賞5着の妹の評価は必然的に下がりそうだが、さすがにそんなに簡単ではない。まだ争覇圏だろう。

 プリモシーン(父ディープインパクト)は、ローテーションはアーモンドアイと同じ3カ月ぶりだが、初の関西遠征で当日の落ち着き一歩。まったくレースの流れに乗れなかった。さすがに今回は基準外。東京で巻き返すチャンスは残っている。


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