これが種牡馬ハービンジャーの真価/秋華賞 – 柏木集保 | 競馬コラム – netkeiba.com – 競馬ニュース



◆最大の決め手はバテることなく伸びる底力

 週末の雨は時おり上がりかけたが、とうとうこのレースの前に「重馬場」まで悪化。長く降り続いたため、勝ちタイムの2分00秒2「前半59秒1-後半61秒1」が示す以上に、多くの馬にとって酷だった。レース上がりは「49秒1-37秒0」に落ち込んだ。

 勝ったディアドラ(父ハービンジャー)は外枠のため前半は最後方グループになったが、C.ルメールはあわてなかった。重馬場のわりに先行勢がひっぱる流れは速く、馬群は固まっていない。後方の外にいたディアドラは、3コーナー過ぎからのコース取りが絶妙。ムリなく最内に進路を取ると、4コーナー手前ではあっというまに先団を射程位置まで押し上げた。直線を向いて少し外に出すと馬群の密集はなく、すぐ前に武豊のリスグラシュー(父ハーツクライ)がいた。抜けだそうとスパート態勢に入っている。あとは追うだけ。抜け出したモズカッチャン(父ハービンジャー)を外から差し切って、並んで伸びたリスグラシューに1馬身4分の1差。

 1頭だけ上がり36秒を切って「35秒7」。爆発力が武器の馬ではないが、「桜花賞→オークス→秋華賞」。3冠すべてディアドラの上がり3ハロンは最速となった。非常に珍しい記録であり、タフな馬場になった今回、バテることなく伸びる底力が最大の決め手となったのである。

重賞レース回顧

3冠すべて上がり3ハロンが最速というのは非常に珍しい記録(C)netkeiba.com


 牝馬の3冠目が秋華賞となった1996年以降、1999年の勝ち馬ブゼンキャンドル(父モガミ)の15戦目に次いで、史上2位の14戦目【5-3-2-4】となるタフな勝ち馬となった。これが英キングジョージVI世&クイーンエリザベスSを快走した種牡馬ハービンジャー(父ダンジリ)の真価だろう。14年夏に初年度産駒がブレークしかけながら伸び悩み、やや評価を難しくしていたハービンジャーは、3世代目のモズカッチャン、ペルシアンナイトなどのG1快走で評価再上昇となり、今回のディアドラが初のGI馬である。

 ディアドラは、その牝系もタフな一族。母ライツェント(その母ソニンク)は、アコースティクスの半妹。アコースティクスは、2分33秒7も要した2009年の不良馬場の日本ダービー馬ロジユニヴァースの母である。また、祖母ソニンク(その母は名牝ソニックレディ)の父は、ことのほかタフな血を伝えることで知られる種牡馬マキャヴェリアン(父ミスタープロスペクター)。この種牡馬は、土曜日の「府中牝馬S」を2着したヴィブロスの母の父でもある。姉ヴィルシーナ、兄シュヴァルグランとともにまた一段と母ハルーワスウィートの評価を上げている。さらに、母の父スペシャルウィークは、歴史に残る名牝シーザリオ、ブエナビスタなどの父だから、これからも底力をささえるサイアーとして再三注目馬の血統図に登場するだろう。

 C.ルメール騎手は、ディアドラにテン乗りだったが(次のエリザベス女王杯はヴィブロスがいるので乗らない予定)、それまでの主戦岩田騎手は、スケールあふれるファンディーナ(父ディープインパクト)とお手馬が重なり、ファンディーナに騎乗したのは当然だった。しかし、ディアドラよりさらに大柄で518キロのファンディーナは、この馬場では残念ながら能力発揮はムリ。珍しく長めを追って出走してきたファンディーナは、一段と脚が長く映り、繋ぎも長い。このグッドルッキングホースは良馬場でこそだった。期待の良血馬(繁殖としてのほうがもっと大切)ゆえ、あまりビシビシ追って鍛えに鍛えるハード調教はできない馬でもある。緩さは解消していたが、滑る重馬場はかわいそうだった。

 1番人気のアエロリット(父クロフネ)もまた、7着まで後退した最大の敗因は渋馬場となるが、そればかりではない一面もある。行きたがる馬は「下を気にするといつもよりかからない」とされるが、行く気にはやったアエロリットのパワーはすごい。だからNHKマイルCを快時計で押し切り、古馬相手のクイーンSも圧勝した。札幌1800mのクイーンSを前半1000m通過58秒3で行って圧勝は、中距離でのスタミナ配分の難しさを伝えている。

 あの日のように単騎なら途中でセーブできる。アエロリットもペースダウンを受け入れる。だが、今回は渾身の仕上げで、みなぎる気迫が違った。それがカワキタエンカ(父ディープインパクト)を行かせ2番手で我慢しようとすると、外に並んできたのが少々行きたがった518キロのファンディーナである。重馬場の前半でスイッチが入っては、2000mは苦しい。折り合えば距離はある程度までこなせるだろうが、現時点では行きたがるマイラーと思える。

 4コーナーを回って、内回りの短い直線。勝機かと思えたモズカッチャン(父ハービンジャー)は、道中、「右手前を落鉄した。コーナーで軸足になる右前の蹄鉄がないのを気にしていた(M.デムーロ騎手)」という。滑る重馬場だけになおさらだったろう。レース後の談話は必ずしもすべてがその通りとは限らないが(トップ騎手であればあるほど)、このアクシデントは残念だった。

 2着リスグラシューは、阪神JFを出発に主要レースにすべて出走して「0秒2-0秒4-0秒1-0秒8-0秒3-0秒2」差の惜敗。今回はトライアルのローズSとは違って究極の仕上げで、プラス2キロの438。素晴らしい状態だった。流れを読んだ位置取りも、きっちりモズカッチャンに並んだ仕掛けも非の打ちどころなしだったが、この馬場ではディアドラのパワーが上回っていた。

 ラビットラン(父タピット)は、強く追う最終の追い日を1週前の日曜にするなど、テンションを上げすぎないよう細心の工夫をこらしたが、パドックでチャカつき過ぎ。本馬場入場直前に放馬しかかるほどカッカしてしまった。それなのに道中は気合をつけるシーンがあり、バネが身上の切れ味型に不向きな重馬場も重なって、完全にリズムを崩している。それで4着。改めて秘める能力の高さを示したといえる。

 小柄なミリッサ(父ダイワメジャー)は身体に実が入り、それでいていつも以上に寸が詰まって映ったから、理想はマイル前後か。3戦3勝のリカビトス(父ディープブリランテ)は、休み明け、422キロの小型馬、どうみても不利な重馬場、初の遠征競馬を考えれば、この10着は大健闘。渋馬場の反動がないことを祈りたい。


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