【エ女王杯】勝敗を左右した馬場、展開、枠順

笑いモズカッチャン、クロコスミア

 GⅠを勝つには運が必要――。今年のエリザベス女王杯は“勝負運”が明暗を分けた。

 今年は超がつくスローで流れた。クインズミラーグロが意表をつく逃げを打ったからか、5F通過は62秒0。3歳、古馬の混合戦となった96年に63秒1はあるが、良馬場ではそれに次ぐ遅い流れだ。そこから、12秒8―12秒9とさらに緩んだことで完全に上がりの競馬となった。実際にラスト3Fは11秒6―11秒2―11秒6である。

 こうなると、完全に“前、内有利”。外差しが利きにくい傾向が週末の京都芝だったからなおさらだろう。勝ったモズカッチャンが3枠5番、②着と踏ん張ったクロコスミアが2枠4番。2頭ともに労せず、絶好位で運べている。枠順が決まった時点で運を味方につけていたか。

 ただし、その少しの運を確実に勝利へと結びつけるからモズのM・デムーロの勝負強さは別格と言っていい。虎視眈々と5番手インで構えて、ゴール前で測ったように差し切った。「秋華賞では落鉄していて悲しかった。リベンジできてうれしい」と話した通り、ローズSから手綱を取り⑦→③→①着と“三度目の正直”でアジャストさせて見事GⅠ馬へと導いた。

 これでM・デムーロは今年のGⅠ5勝目。15、16年の4勝を超えた。また、オークス③着(アドマイヤミヤビ)から9戦連続で馬券に絡む〈5255〉。③着内率・706だからGⅠはこのイタリアン中心に回っていると言っても過言ではない。

 また、乗れているといえば、クロコスミアの和田も同じ。日曜は3勝し、今年は90勝。12年の80勝を超えて自身のキャリアハイを更新し続け、年間100勝が目前となってきた。

 今回のクロコスミアも完全な“テン乗り”。もとから研究熱心な性格で、全力投球の騎乗スタイルではあるが、“不惑”40歳を迎えての充実ぶりが9番人気のクロコスミアを粘らしたのかも。

泣きミッキークイーン、ヴィブロス、ルージュバック、ディアドラ

 上位2頭が力を出し切ったのとは対照的に、不完全燃焼に終わった馬も多くいた。

 ゴール前、猛追して③着だったミッキークイーン。外からの脚は一際、目立っていたが、いかんせん内でうまく立ち回っていた①②着とは、あまりにもレース運びに差がありすぎた。

 1番人気で⑤着に終わったヴィブロスはハミを噛んで掛かり気味。初めての距離というのも鞍上の心理に影響して、強気に攻めることができなかったか。

 さらに、前半から絶望的な位置になってしまったのが⑨着ルージュバック、⑫着ディアドラ。

 ルージュは前走のオールカマーで先行策からインを突いて勝利したが、今回はこれまで通りの後方待機。ムーアの腕を持ってしても、見せ場すらつくれなかった。

 ディアドラにいたっては4コーナーまで17番手で、こちらも見せ場はゼロ。いつもより反応が悪く、ひょっとしたら状態が少し下降気味だったのか。また、これまでの3連勝は札幌、中山、京都内回りといずれも直線の短いコースだったから、意外と長く脚が使えないようにも思える。

 また、この4頭は2ケタ馬番という共通点も。先週の京都の馬場では、①②着の2頭に比べて明らかに不利だった――。


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